霧島家の台所にて。
「Trick or treat、慶陽 (にこっ)」 「・・・・・・!なっ・・・・・・!?」 「どうかしました?」 「いやっ・・・・・・!どうかしましたか、じゃねえよ!なんだその格好!」 「見てのとおり、死神です」 「うん、そりゃ分かるけどな。鎌持ってるもんな。じゃなくて」 「ハロウィンに仮装はつきものでしょう?」 「お前がそういう格好するとシャレになんねえんだよ!今にも笑顔で鎌振り回してきそうで!」 「・・・・・・ああ、そういうのがお望みでしたか。ではご希望にそって (笑顔)」 「違う違う、ちっがーう!あのな、まず落ち着いてよく聞けよ?・・・・・・その鎌、危ないからしまってな?な?」 「危なくはないですよ。普通の鎌と同じでこう、対象物に引っ掛けて手前に引くように力をかけないと」 「いや説明いらないから。どのみち切れるんだろ、それ」 「切れますねえ、すっぱりと」 「十分危ねえじゃねーか!」 「ふむ。ではこうしましょう。あなたがお菓子をくれれば私は退散します。くれなければ鎌を振り回します」 「脅迫かよ!?」 「だから今日はハロウィンだと言ったでしょう?Trick or treat、お菓子をくれなければいたずらするぞ、と」 「いたずらって普通、もっとかわいらしいもんだよな?鎌振り回すって明らかにいたずらのレベル超えてるよな?」 「じゃあ、かわいらしいいたずらを?私が?」 「・・・・・・うっ」 「そういうのは、かわいらしいことが似合う人物に任せておけばいいんです。私はいたずらをしにきたんじゃありません」 「なら」 「略奪です。(超笑顔)」 「・・・・・・、・・・・・・俺が悪かった」 「そうですか」 「でもなー、菓子っつっても・・・・・・晩メシん時にケーキ出すから、それじゃ駄目か?」 「ふむ。ならそれでいいでしょう。あなたのお菓子はおいしいですから」 「そりゃどーも」 「残るは深紅と・・・・・・黒曜も帰ってきたら襲撃ですね」 「襲撃っておい」 「略奪ですから」 「・・・・・・あんま過激に走るなよ?」 「お菓子をもらえばおとなしく退散しますよ。では行ってきます」 「お、おう・・・・・・ほどほどにな」 「もちろん。さて深紅は何をくれますかね・・・・・・」 「(遠ざかる後ろ姿を見つめつつ)・・・・・・菓子に対する女の執念って、怖いな・・・・・・」 小噺2『太るぞ、とは言えなかったハロウィン』 END. up date 07.10.18 |
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